「働き働きはじめてから、自由な時間は減ったけど、自由に決められることが増えた」
中学高校と6年間引きこもりだった発達障がいの彼がそう言う。
「私、前の作業所でお給料が7千円だったよ。今はねえ、10万円。お母さんニコニコしてる」
32歳、はじめての一般就労をはたした彼女がそう笑う。
「僕の仕事はうんと大変な仕事じゃよ。女子供にはぜったい無理!」誇らしげに腕を組むダウン症のA君。
「いつか部長になって、工場のエアコンをもっといいのに買い替えたい」入社4年目のB君の野望。
「僕が休むと会社がつぶれる」どうしても欠勤をしなければいけなくなった朝、泣きながら電話をしてくる彼。
私たちはこれまで“働く”というステージで、多くの障がいのある彼らと、
日々もみくちゃになりながら向き合ってきました。
頑張らなくていいよ。無理をしなくていい。出来るだけでいい。
生まれたままでいいよ。よく人は彼らにそう言います。
それでも私たちは、暑い日も寒い日も、泣いたり笑ったり、もがいたりしながら、頑張って、無理をして、出来ないことを出来るように、一歩一歩、働く人になっていく彼らの姿を数多く見てきました。その姿から、私たちが受け取ったこのパワーを、どうにかして発信したい。そんな想いでこのプロジェクトを発足しました。
現在の日本では、障がいのある彼らが「働いて生きていく」ということは、まだまだ現実的なことではありません。
多くの彼らは作業所や日中活動の場で、自立可能な収入も、働くことで体感できる達成感や、
誰かや何かのためになっているという充実感を得ることもなく人生を積み重ねていきます。
けれども本当は、誰でもが働いて生きていける。
そんなセリフを、声高らかに言える、場所や未来を、
私たちはこの場所で創っていきます。
「私たちは、働いて生きていきたい。」
「私たちは、働いて生きていく。」
「私たちはここで、彼らと、働いて生きていく。」